腰椎圧迫骨折、80歳女性の場合

野田市在住の８０歳女性（Aさん）、肩こり・腰痛で当サロンにいらっしゃいました。
洋裁が趣味で、つい夢中になって何時間も根を詰めてしまい慢性的な肩こり・腰痛で悩んでいらっしゃいました。

更に一応治ってはいるものの、腰椎圧迫骨折で腰椎（腰の骨）の１・２番が後方に突出している状態で、これを何とかしたいということでした。
初めは週一回くらいのペースで施術を受けていただき、４回の施術で（自宅でのセルフケアもしっかりやっていただきました。）、肩こり・腰痛は作業の後など疲れると出てきはするものの、一晩寝れば取れている状態まで持っていくことができました。

腰椎の後方突出も初めの頃よりは収まっていきましたが、まだ触ると気になる状態で、そこからはなかなか更なる改善は見られませんでした。５回目の施術が一通り終わった後、ベッドに座っていただき背骨を触っていくと、まだ一定のところからは腰椎の突出が気になりました。

ふと、ひらめいて僕はAさんにこう言いました。
「息を一回全部吐いて、吸うときに胸の上のほうに入れるようにして息を吸ってみてください。次に吐くときに胸の位置をなるべくキープしたまま息を吐いてください。」
この胸式呼吸を３回繰り返すと、腰椎の後方突出が完全ではありませんが、かなり収まって触ってもさほど気にならないくらいまでになりました。

８０歳にもなるとこの胸式呼吸も上手くできない方がいらっしゃいますが、Aさんは普段から健康に気を使って太極拳やヨガなどをされているので、スッとできてしまいました。
Aさんはたいへん喜んでいただき、僕もうれしかったのですが、当たり前のような顔をしながらも新しい発見に内心驚いていました。

これはどういうことかというと、胸郭（肋骨）の下がりが腰椎の伸びを邪魔していたのです。逆に言えば、胸郭を上げることによって腰椎を引き伸ばすような連動性があるということです。
肋骨の重要性を説く整体の先生がいらっしゃって、知識としてはあったのですが、実感として僕は理解していませんでした。それを教えてくれたのがAさんだと言っても過言ではないと思います。